菅義偉首相を題材にした映画「パンケーキを毒見する」(内山雄人監督、7月30日公開)の公式ツイッターアカウントが、24~25日に一時凍結された。菅首相の政治姿勢を検証する内容だけに、配給会社のスターサンズは「政治的な理由なら大変な問題」と困惑。25日、凍結したツイッター社に質問状を送付した。
スターサンズによると、24日午前7時ごろ、社員がアカウントの凍結に気づいた。午前10時半ごろ、ツイッター社に異議を申し立てるメールを送ると、25日午前3時過ぎに「ツイッター社のルールに繰り返し違反したため凍結された」と返信があったが、詳細な説明はなかった。
アカウントは、それから5時間後の25日午前8時に凍結の解除が確認された。ただ、過去の投稿内容やコメントを閲覧できたが、フォロワー数はゼロに。午前9時にはフォロワー数も元に戻っていた。
映画には、石破茂衆院議員や村上誠一郎衆院議員ら多くの政治家が出演。加計学園の獣医学部新設問題を巡り、官房長官だった菅氏と対立した前川喜平・元文部科学事務次官らが、菅首相について語る政治ドキュメンタリー映画。タイトルは、菅首相が政治部の記者たちと好物のパンケーキを食べながら懇談したことが由来だ。
スターサンズは5月21日に映画の公式アカウントを開設。アカウントの復旧を知らせるツイートを含め、23件の投稿をしている。「菅首相の素顔(スガオ)に迫り、シニカルな鋭い視点で日本政治の現在を映しだす、かつてない政治ドキュメンタリー映画が誕生!!」と宣伝したり、新聞社が配信した菅首相の記事をリツイートしたりしている。
ツイッター社はアカウントを凍結するケースについて、スパム行為や明らかな偽装であり、ユーザーにとってセキュリティー上のリスクを招いていると判断できる▽アカウントが乗っ取られたりハッキングされたりした疑いがある▽嫌がらせに関するツイッタールールに抵触しているという報告がある――を挙げている。しかしスターサンズによると、スパム行為をしたりハッキングに遭ったりした事実はないという。
スターサンズは凍結が発覚した前日の23日、初の試写会を開いた。映画の宣伝担当者は「試写会で映画を見たお客さんの感想がコメント欄に書き込まれる時期だっただけに、宣伝の面で大きな痛手となりました。おかしなタイミングだと思います」と話している。河村光庸社長は、広報を通じて「公式アカウントが突然凍結され、とても驚いている。もし政治的な理由だとしたら大変な問題だ」とコメントした。【大野友嘉子/デジタル報道センター】
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